トップページ > ゾッキ本とワゴンセール

ゾッキ本とワゴンセール

 ゾッキ本というのは、いわゆる新古本のことで、新古本の通称がゾッキ本です。こうしたゾッキ本が増えた理由の一つとして、出版社の数うちゃ当たる戦法も関係しています。書店に委託された本は、売れなければ返本なのですが、入庫よりも返品が多ければもちろん出版社は赤字になるわけです。ですから取り上げず入庫を増やす意味でどんどん出版点数を増やす、そしてさらに売れ残り返品されるという悪循環に陥ることに。そうなるともちろん出版社はすべての在庫を抱えているわけにはいきませんよね。出版業界が好調な時期には裁断処理されていたものが、少しでもお金になった方が……というような理由で、数多く古書店などに流れ込むようになったのです。その他、出版社が倒産して在庫が古本市場に流れてくるなんてこともあります。出版社に限りませんが、在庫には税金がかかりますよね。出版社が税金対策のために、在庫をゾッキ本として流出させることもあるのだとか。
 ゾッキ本は、あくまでも新品ではないものとして扱われるため、見分けるために天地のどちらかに「B印」か、赤マジックなどでゾッキ線と呼ばれるラインが入れられていることがほとんどです。ですが、新古本と呼ばれる本を購入しても、そうしたラインや印が入っているものはあまり見かけないのではないでしょうか。なぜかというと、ほとんどのゾッキ本は、ゾッキ印が目立たないように紙やすりなどでゾッキ印を削ってしまうからです。そうなると、削られた分もともとの本よりも背が低い本になってしまうのですが、もともとの本と並べて比べでもしない限りほとんどの人は気づかないかも知れませんね。こうしたゾッキ本は、ゾッキ本を多く扱う古本屋さんやデパートなどの展示会で販売されることが多くなっています。ひとつの古書店が1種類の本を大量に入手することもあるため、特価本などの名前でワゴンセールになることもしばしば。
 ゾッキ本は、「売れ残り」というイメージが強いことも多いのですが、出版社が倒産して流出したゾッキ本はまれに書店で購入できなかった読者に捜し求められ、希少本になることもあります。

↑ PAGE TOP