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漫画喫茶とブックオフの功罪

 漫画喫茶にブックオフ、そしてネットカフェなどさまざまな場所で私達は直接出版社から購入しない本を読む機会が増えてきました。特に新古書店の存在は、古本の世界を大きく変えることになりました。
 大規模なチェーン店が生まれ、漫画喫茶で手軽に本が読めるようになり、それまで細々と経営してきた古本屋さん、そして小さな書店は閉店してしまうところが増えてきています。もちろん原因は新古書店や漫画喫茶だけではないのですが、原因のひとつであるのは間違いありません。
 こうして本を買う場所が減ってくると、今度は出版業界そのものも不況になってきます。そうなると一部の売れ筋の作家以外、なかなか本を書いて生活するということが難しくなってきます。ただでさえ、今はインターネットでいろいろな面白い文章を、ただで読める時代です。漫画もかなりおもしろい物が数多くあります。
 そうなってくると、生活の糧として物を書く仕事をしている人が減ってきます。結局どんなに書くことが好きな人であっても、生活はして行かなければいけません。書くことでお金が生まれないのなら、違う方法で稼ぐ必要があります。面白い「本」が生まれるチャンスが、どんどん減ってしまうことになるのです。
 また、面白くない本が生まれるチャンスは逆に増えてきています。返本が多いと出版社は結局返金しなければいけません。それを避けるために、むやみとタイトル数を増やしてこれまで流通ルートに乗らなかったようなレベルの本がどんどん出版されるようになったのです。もちろんそうした本の中に面白い本が混ざっていないとは限りませんが、単に書店への納品数を増やすことが目的で尽きられた本のほとんどは結局新古書や古本になり、つまらない古本も増えてしまうことになるのです。もちろん著者にもお金が入らなくなりますから悪循環ですよね。

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