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古本と著作権

 著作権とはその本を書いた人に対して付与される財産権の一種です。この著作権は古本には適用されない、というのが日本での考え方です。一度新刊で販売された時点で、購入者は著作権者にお金を払っていますから、著作権を行使できるのは最初の一回だけ、そして購入者が所有権を持っている財産は自由に処分することが可能だからです。ただ、売り手側から見ると古本さえ出回らなければ買ってもらえたはずの本、だと思えてしまうのは仕方のないことかもしれません。実際、大手の新古書店などは、新刊を扱う小さな本屋とは比べものにならないくらい大きな利益を得ていて、大きなマーケットを形成しています。
 本に限らず、CDなどの音楽著作物も売れにくくなっていて、違法ダウンロードが刑事罰の対象になりました。この場合は、違法ダウンロードでみんなが音楽を聴くせいで、CDが売れないからというのが理由なのですが、違法ダウンロードが禁止されても結局CDの売り上げというのは上がっていません。CDが売れなくなった理由は、買わなくても音楽が聞けるから、だけではなくお金を支払っても手に入れたいと思える魅力のあるコンテンツが少ないということもあるのです。
 いい本を作ってくれる作者に、お金が入らなければ新しいコンテンツは生まれにくくなるというのも本当です。本を出版するにもお金はかかりますし、流通させるのももちろんお金が必要です。こうしたコストをそもそも回収できなければそもそも出版という事業は成り立たないのです。
 ただし、結局いい本は売れることも忘れてはいけません。中古が出回ることで売り上げが落ちることは確かにあるのですが、中古品が出回らなければ売れるというものでもないのです。定価で買うほどのものではない本、と思われれば新刊ではなく中古本が売れるのは当たり前で、定価販売という制度にも問題はあるのです。

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